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●補聴器の増幅方式

補聴器は音を大きくする医療機器ですが、ただ大きくすればいいというものではなく、装用者のダイナミックレンジに聞きたい音を納める必要があります。

ダイナミックレンジについては『難聴とダイナミックレンジ」をご参照ください。

補聴器の増幅幅を決める方式として、大きく2種類「リニア」と「ノンリニア」があります。

・リニア

入力音の大きさに関わらず、すべての音を同じだけ増幅します。一般に伝音難聴に適合します。
ただし、大きくしすぎると耳を痛めるため、補聴器には基本的に出力制限機能があります。
アナログ補聴器の多くにみられるPC(ピークカット)という出力制限の方式は波形の突出した部分をカットするため、大きめの音が入ってきたときには歪んだり割れたりすることがあります。

リニア増幅イメージ

リニア増幅イメージ

・ノンリニア

入力音の大きさによって増幅幅が変化します。
小さい音は大きな増幅幅を、大きい音には小さな増幅幅を持たせ、極端に大きい音の場合は逆に抑えます。そうすることで装用者のダイナミックレンジに納めます。
ワイドダイナミックレンジコンプレッションと呼ばれます。一般に感音・混合難聴に適合します。
入力音によって感度を調整するため波形は崩れず、歪みや割れはありません。

ノンリニア増幅イメージ

ノンリニア増幅イメージ

●ダイナミックレンジとは

聞き取れる最も小さい音の大きさを「最小可聴閾値」と呼びます。これより小さい音は聞こえません。
また、快適に聞き取れる最も大きい音の大きさを「最大快聴閾値」と呼びます。これより大きい音はうるさく感じます。

それぞれ個人差があり、最小可聴閾値〜最大快聴閾値をダイナミックレンジと呼びます。

●感音難聴のダイナミックレンジ

難聴になると最小可聴閾値が上昇しますが、感音難聴の特徴として最大快聴閾値が下降することがあります。
つまり、大きい音でないと聞こえないが、健聴者にとってはそれほどうるさくない程度の音でもうるさく感じる、ということになり、ダイナミックレンジはかなり狭くなります。

そのため、感音難聴・混合難聴の方に補聴器を合わせる場合、小さい音は大きく増幅し、大きめの音はあまり増幅しないように、極端に大きい音は逆に小さくなるようにすることが望ましいです。
このような増幅方式をワイドダイナミックレンジコンプレッションと呼び、デジタル補聴器(一部の安価な補聴器を除く)で可能です。
アナログ補聴器でもごくわずかですが可能な機種もあります。
これが不可能な補聴器は使えないという訳ではなく、出力制限で対応します。(出力制限の機能は必須です。)

コンプレッションについては「リニア/ノンリニア増幅」をご参照下さい。

ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジ

●自分に合う補聴器とは?

補聴器選びの際によく言われる事で
「高価な補聴器が良いとは限らない。安くても自分に合う補聴器を選びなさい。」
というのがあります。

確かにその通りです。何十万もする補聴器よりも10万弱の補聴器の方が良い、という場合も少なからずあります。

しかし勘違いしてはいけないのは、全ての人が安価な補聴器の中から「自分に合う補聴器」を探し出せるわけではないということです。
もちろん無意味に高い物でないといけないわけではないので、価格と性能の面で、自分にはどこまで必要かということを見極める必要があります。

聴こえの状態はその人によって千差万別です。聴力検査の結果が全く同じ人がいたとしても、同じ補聴器では合わない場合もあります。
耳鼻咽喉科医や補聴器技能者には、合わない補聴器を判断する事は出来ますが、データだけでは一番合う補聴器を選ぶ事は出来ません。条件や効果を測りながら最善の物をご本人様と一緒に探して参ります。

「自分に合う補聴器」を探す上のポイントを下記で述べます。

・デジタルとアナログの違い
感音性または混合性難聴で補聴器の経験が浅い方は、基本的にコンプレッションの働くデジタルの方が合うと思います。
ただし、アナログの使用経験が長い方はデジタルでは合いにくい場合もあります。
伝音性の場合はアナログの方が良い場合も多いと思いますが、大きな利得(増幅幅)が必要になりますのでハウリングが起こりやすくなります。その様な場合はハウリング抑制付きのデジタルをリニア的な調整でお使い頂くこともできます。

コンプレッション、リニアについては「リニア/ノンリニア増幅」をご参照下さい。

・メーカーによる違い
近年のデジタル補聴器は、一つのDSP(デジタル信号処理装置)の機能をどこまで使うか、ということで価格が決まってきます。
そのため、どの機能が必要かを見極めることで最適な補聴器を選ぶ事が出来ます。
また、メーカーが変われば音質も機能の働き方も異なりますので、あるメーカーの高価な機種よりも他メーカーの安価な機種が良いという事があります。試聴した補聴器が上手く合わない場合は、別のメーカーで試す事で解決する事もあります。
ただし、同一メーカーのシリーズの中では、高価な機種より安価な機種の方が合うということは形状の違いによるものを除けば普通ありません。

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