‘調整’ タグ

一般的に補聴器は対面販売であるべきだとされています。

なぜでしょうか?

よく言われるのは、個人個人に合わせた調整が必要なので、ということです。
聞こえは一人ひとり違います。その聞こえにあわせた調整は必ず必要になります。
通信販売や安価な補聴器では調整機能を持っていない場合もありますが、それでも最低限音量の調整は必要になります。

もちろん、そういった場合はご使用になるご本人による調整も可能です。
しかし、その音量が適したものであるかは客観的な判断が必要になります。
難聴者のきこえはとても難しく、音量を上げすぎると逆にきこえにくくなります。耳を傷める危険性もあります。
自分で耳を傷めるほど大きな音にはしない、と思われるかもしれませんが、環境や相手の話し方が原因で聞き取りにくい場合に極端に音量を上げようとされることはよくあります。

専門家による調整をお勧めする理由はそのためです。

他にも対面販売が望ましい理由があります。
それは次回述べたいと思います。

補聴器の販売方法_対面販売・通信販売_2

こちらも参照ください。

通販補聴器・集音器・助聴器

補聴器店で購入する補聴器と通信販売の補聴器は全く別のものです。さらに、通信販売で売られている集音器・助聴器等の類似品はもっと違います。
通信販売で売られている物には「調整の必要がない」「お店に通う必要がない」ということを売りにしている場合がありますが、「調整機能がないためお店に行っても何も出来ない」くらいに思ってください。自動調整等はあり得ません。
以下にこれらの違いと留意点をご説明します。

●補聴器と集音器・助聴器等の違い

まず、補聴器と集音器・助聴器等の類似品についてご説明致します。
一番大きな違いは「補聴器」と名のつくものは「管理医療機器」として、薬事法の規定に基づいた承認を受けているという点です。
難聴とダイナミックレンジ」「リニア/ノンリニア増幅」でもご説明しております通り、難聴者のきこえを改善するためには、ただ音を大きくすればいいというわけではありません。また、必要以上に音を大きくした場合は耳を痛める等の健康被害の危険性があります。
「補聴器」はこういった健康被害を防ぐための機能を有しているものでないと承認は受けられません。もちろん、聴力に合わせた調整が必要になります。
集音器・助聴器等はその承認を受けていません。
音質等は個人の好みがありますので、集音器や助聴器の中に聞きやすいものがある可能性は十分にあります。しかし、上記の点を留意しておく必要があります。

●補聴器店の補聴器と通信販売の補聴器の違い
どちらも「補聴器」なので上記の「管理医療機器」の承認は受けています。
補聴器は聴力に合わせて調整する必要がありますが、通販器種には音量以外の調整機能はない場合がほとんどです。 それに対し、補聴器店の補聴器は聴力に合わせた調整はもちろん、メンテナンス等のアフターサービスも価格の中に入っています。(補聴器店選びが重要なのはこのためです。)
軽度難聴の場合は低出力の補聴器を調整なしで少し音量を上げれば十分役に立つ場合はあります。こういった場合は通販器種の方が安くあがりますが、逆に全く役に立たない可能性も大きいので一種の賭けになります。

また、集音器にしても補聴器にしても、通信販売でもっとも認識しておくべきなのは、音の調整や部品の選定、形状の調整に至るまで、全てをご自分で行う必要があるということです。

補聴器の販売方法については以下の記事もご参照ください。

【ご参考】国民生活センターの資料

●補聴器の試聴・貸し出しについて

近年は多くの補聴器店で一定期間の試聴貸し出しを行っています。
それぞれの補聴器店の考え方なので、貸出制度の無い店が不親切であるということではなく、もちろん貸出制度のある店が優良店であるとも限りません。

補聴器の装用を検討する上で、貸出で試すことが出来れば納得して購入する事が出来ます。
ただし、補聴器は時間をかけて使いこなしていく必要があるので、貸出期間の間に補聴器の良し悪しを完全に判断する事は出来ません。
ある程度実感できる効果があって使うことが出来そうなら、前向きに購入を検討されてもいいと思います。

また、一度貸し出し時に上手くいかなくても調整の変更や機種の交換で改善する事もありますので、短期間であきらめずによく相談する事をお薦めいたします。

●補聴器のご検討にあたって

補聴器技能者

補聴器技能者

補聴器の検討・購入の際に最も重要となるのが、どの店で相談するか、どの店で買うか、ということです。
補聴器は、聴力や聞こえの状態、音の好み、使用環境等に合わせた調整が必要になり、購入後も再調整や点検、修理など、アフターサービスも必要です。
最新の補聴器は機能が高度化して、パソコンで細かい調整をします。使いこなすには各機能がどんな風に働くかを補聴器技能者が理解している必要があります。
また、故障やトラブルも複雑化しており、経験や機能への理解がないと判別できない(不具合を見つける事が出来ない)事もあります。
アフターサービスや利便性も考慮して、きちんと相談に乗ってくれるお店をお探し下さい。
●お薦めできない補聴器店の選び方

親切なお店を選びましょう

親切なお店を選びましょう

割引率の高さだけで補聴器店を選ぶのはお薦めできません。
もちろん値段は重要な条件ですし、同じ効果が得られるのなら安いに越した事はありません。
しかし、補聴器の価格は機器の対価というよりはカウンセリングの対価です。全く同じ型式の補聴器でも、どの店で買うかによって違うものになります。得られる効果も変わります。
いくら割引率が高くても補聴器は高い買い物です。
逆に、割引しない店が優良店であるとも限りません。
失敗の無い補聴器選びのために、しっかりした補聴器店をお探し下さい。

補聴器は買ってからの調整やメンテナンスが、買うまでの機種選びと同じくらい重要です。お店とは長い付き合いになりますので、親切に相談に乗ってもらえて信頼できる補聴器店をお選びになることをお薦めします。

●アフターサービス

補聴器は、使われる方それぞれの聞こえに合わせて調整してはじめて使えるものになりますが、出力をただ聴力のデータから計算した数値にあわせているだけではありません。

気になる音や不快感等、違和感や不具合を調整を繰り返しながら改善していきます。しばらく使ってみないとわからないこともありますので、着け始めのときは何回か微調整をしてもらったほうがいいです。もちろん完全に違和感がなくなることはあまりないですが、一番自分の使いやすい所をお店の人と一緒に探していくのがいいと思います。

オーダーメイドの耳穴形の場合は、形が完全に合わないこともあります。
着けてると痛いとか、ハウリングがひどい(ピーピー音がする)場合は形が合っていないかもしれません。
作ってからある一定の期間は無償で作り直しが出来ますので、遠慮なく相談しましょう。
期間はメーカーによって異なりますが、2ヶ月くらいだと思います。それ以降は有償になり、オーダーメイドの型の作り直しは高価であることが多いので、出来るだけ早いうちに相談してください。
※これは保証期間とは異なります。

●故障・耐久性

一般的に、補聴器の寿命は4,5年くらいと言われます。ただ、10年くらい使っておられる方もいらっしゃればもっと早い時期に買い換える方もいらっしゃいます。
故障しても、かなり前に製造中止になって部品がない、等でない限りは修理が出来ますが、痛みがひどいと修理費が高くついたり、新しい機種もどんどん出てきますので、そういった理由で買い換えられることが多いと思います。

体に装着して使うものなので、一般的な電気製品より故障は多いです。
一概には言えませんが、形によって下記のような故障が多く発生します。

・耳穴形
耳垢による機器の劣化

・耳掛形
汗による腐食、劣化

・箱形
コードの断線

・共通
内部の接触不良
落下による破損

どんな故障であれ、修理の可否も含めて見積もりはしてもらえますので、補聴器店に相談してみてください。

●補聴器の値段

補聴器は、聴力の測定やカウンセリングを元に調整してお渡しすることを前提とした設計になっています。価格の中には再調整や日常点検の費用も含まれます。保証期間終了後の修理は有償になりますが、再調整や点検は原則無料です。
種類(デジタル/アナログ)や形によってかなり価格帯も変わってくるので、下図に示します。

補聴器の価格帯

補聴器の価格帯

同じ種類、形でも幅があるのは、出力、機能の充実度合いの差によるものです。
出力に関しては高い方が、機能面では充実している方が高価になります。
機能といっても特に操作が必要になるものは少なく、状況に応じて自動で働くものがほとんどです。「高機能になると操作が難しくて使えない」ということはあまりないと思います。

●補聴器の性能

現在の補聴器にある代表的な機能を下に列挙します。

○アナログの機能
・音質調整
低音域や高音域の出力を抑える事で音質を調整します。聴力のデータを基に調整しますが、最終的にはご本人の聞きやすい音質に合わせます。
・出力制限
強大音で耳を傷めない様に、出力を制限します。ピークカットという方式が多く、突出した成分を「切り取る」ため、大きな音が入ってきたときは音がひずみ、割れて聞こえます。
・騒音抑制
騒音になりそうなところをカットします。一般に低音域を抑えます。
○デジタルの機能
・音質調整
考え方はアナログの物と同じですが、デジタルの方がより細かい調整が可能です。
・出力制限
強大音で耳を傷めない様に、出力を制限します。大きな音が入ってきた時は自動的に感度を下げるため、音をひずませることなく出力を抑えます。
・騒音抑制
会 話の邪魔になる騒音を抑えて言葉を聴きやすくします。入ってきた音を分析し、音を細か周波数帯に分けて騒音が多い部分の感度を下げます。分けられた周波数 帯を「チャンネル」や「バンド」等の言葉で表現しています。これらの数値が大きいほど細かく分けられているので騒音抑制の精度も高いということになりま す。(メーカーによって仕組みは異なるので、それだけでは判断できませんが。)
・ハウリング抑制
ハウリングとはピーピー音です。補聴器が自分で出した音を拾い、それを増幅して出す、さらにその音を拾って増幅する、ということを繰り返してピー、と鳴ります。
このハウリングが起きにくくする機能です。方式は2種類あります。
「ノッチ方式」
ハウリングが起きそうな周波数帯の感度を下げて、ハウリングを抑えます。
「逆位相方式」
ハウリングの音に、位相を反転した音をぶつけて打ち消します。
必要な感度を下げずにハウリングを抑えるため、逆位相の方が優れていると言えますが、いずれも絶対にハウリングしないというものではなく、状況が悪ければ抑えきれないこともあります。(※方式の呼び名は他にも色々あると思います。)
・指向性
後 ろからの音を抑えて、正面の会話を聴きやすくする機能です。「後ろから話しかけられたり、車が来たりしたら気づかないんじゃないか?」と、心配になります が、後ろの音を完全に入れないわけではないですし、通常は全方向の音を満遍なく拾い必要な時だけ指向性が働く機種が多くなっています。比較的上位の機種に なりますと、複数の騒音源をとらえて追尾しながら抑えるといったことを自動で行います。
・アンチショック
衝撃音を抑えます。出力制限と違い、突然入ってきた音を抑えるため、さほど大きい音でなくても感度を下げて驚かないようにしてくれます。
・風切音抑制
風による雑音を抑えます。
・プログラム切り替え
複数の設定を補聴器に覚えこませて、状況に応じて切り替えることが出来まる機能です。これは自分で操作する必要がありますが、ややこしければ使わなくても問題ありません。

これが全てではありませんが、これらの機能が入ってるか入っていないか、どのくらいの程度で効くか、等により価格が変わってきます。
デジタルの方が機能が多く選択の幅も大きいので、価格の幅も大きくなっています。

補聴器は、つけたからといって完全に聴力がもどるものではありません。あくまでも残っている聴こえを補う機器なので限界があります。だからこそ残っている聴力を生かすのに適した機種を選び、一人ひとりの聴力に合わせて適正に調整される必要があります。その上で、道具としての限界を理解して上手くお使い頂ければ、と思っています。
ここでは、難聴の種類とそれぞれについて補聴器の効果をご説明します。

耳の機能は大まかに、音を物理的に神経に伝える部分と、その音を拾って電気信号に変換し脳に送る部分に分かれます。難聴の原因となる障害がどこにあるかによって難聴の種類が異なります。
・音を電気信号として脳に送る部分に障害がある場合→感音性難聴
・音を神経に伝える部分に障害がある場合→伝音性難聴
・感音部、伝音部の両方に障害がある場合→混合性難聴

難聴の種類

難聴の種類

●感音性難聴
騒音性難聴や老人性難聴はこれにあたります。
音を電気信号に変換して送る部分が傷んでいるため、小さな音が聞きづらいだけでなく音がゆがんでしまっていたり音の聞き分けが困難になってしまっています。そのため、補聴器をつけてもゆがんだ部分や聞き分けの困難さは残り、

・早口の会話
・複数人の会話
・口の中で話すようなはっきりしない発音

・騒音下の会話

等は聞き取りづらくなります。
程度は個人差があり、データ上は同じ聴力でも言葉の聞き取りはそれぞれ異なります。
ただ、会話の中での聞き取りは、聞き取りにくい言葉があっても前後関係等からの推測も働くため、
・ゆっくり
・はっきり
・正面から

話をすれば、補聴器装用により会話がしやすくなることが多いです。

●伝音性難聴
鼓膜から、音を変換する内耳に至る経路の部分に障害があり、音が上手く伝わらない状態です。
神経は正常に機能していますので、大きい音を入れればよく聞こえます。障害のある部分を介さずに骨を通して音を伝える骨導補聴器も効果的です。
補聴器の効果はかなり期待出来ますが、手術や治療によっても回復の可能性がある場合があります。

●混合性難聴
感音性難聴と伝音性難聴の両方の要素が合わさった難聴です。

このスペースに表示するには、ウィジェット管理でカテゴリー、ページ、タグなど、好みのパーツを設定します。