オクターブ変換と波長算出、エネルギーの2乗比例則、音圧レベル対数定義および音速の温度依存式
補聴器の調整、オージオメータによる測定値の評価、ならびに機器の音響特性理解においては、音響物理学の基礎概念を定量的かつ正しく保持しておくことが前提となります。
認定補聴器技能者試験で頻出する「音響の基礎問題」を題材に、周波数・波長・音圧・音の強さ・音圧レベル定義・音速の相互関係および計算解法について整理します。
音速・周波数・波長の基本関係式と1オクターブ変化
音速を c (m/s)、周波数を f (Hz)、波長を λ(m)とすると、以下の基本式が成り立ちます。
λ = c / f
同一媒質・同一温度下で音速 c が一定である場合、波長 λ は周波数 f に反比例します。周波数が1オクターブ上昇すると周波数は2倍( 2 f )となるため、新たな波長 λ’ は以下の通り計算され、元の波長の「1/2倍」となります。
λ’ = c / ( 2 f ) = ( 1 / 2 ) λ
音圧と音の強さ(エネルギー)の2乗比例則
音圧 p (Pa)と音の強さ I (W/m²)の関係は、媒質の固有音響インピーダンス Z (空気中では Z = ρ c )を用いて以下のように記述されます。
I = p2 / Z
音の強さ I は音圧 p の2乗に比例するため、音圧が k 倍(例えば k = 3 )になると、音の強さは k2 倍( 32 = 9倍 )に増加します。
音圧レベルの対数定義と基準音圧および倍率換算
音圧レベル Lp (dB SPL、別表記: LP / プレッシャーレベル)の定義式は、音強対数表示 10 log10( I / I0 ) から音圧の2乗比例を適用して導出されます。
Lp = 10 log10 ( p / p0 )2 = 20 log10 ( p / p0 )
- 基準音圧 p0 の定義: 1000Hzにおける健康な若年者の最小可聴閾値に相当し、p0 = 20 μPa = 2 × 10-5 Pa = 0.00002 Pa と規定されています。
- 音圧の10倍変化: p / p0 = 10 となるため、20 log10(10) = 20 × 1 = 20 dB SPL 増加します。
- 音圧の2倍変化: p / p0 = 2 となるため、20 log10(2) ≒ 20 × 0.3010 ≒ 6.02 dB SPL(約6dB)増加します。
空気中における音速の温度補正計算
理想気体中の音速 V (m/s)は絶対温度の平方根に比例します。摂氏温度 t (℃)における実用的な近似式は以下の通りです。
V = 331.5 + 0.6 t
常温( t = 15 ℃ )の場合の音速は、V = 331.5 + ( 0.6 × 15 ) = 331.5 + 9 = 340.5 m/s (近似値として 340 m/s )と導出されます。
まとめ
音響理論の基本関係式( λ = c / f 、I ∝ p2 、Lp = 20 log10( p / p0 ) 、V = 331.5 + 0.6 t )は、物理的パラメータを相互変換するための根幹をなします。
基準音圧 20μPa(0.00002Pa)の定義値や、音圧10倍=20dB・音圧2倍≒6dB、常温15℃音速 340m/s といった主要な数値と比例関係を正確に把握しておくことが実務および試験対策として重要です。